量子コンピューターは完成すると、200年かかる計算を短時間で解析してしまうため、実用化するとあらゆる電子的なセキュリティが解除されてしまう可能性を持つ。
つまりは物理的な遮断以外はアクセスが可能であればハッキング可能な、攻殻機動隊な世界の到来となる。
問題は開発を完成させたところが何処で、何に使うかである。
突如、ハッキングによる核戦争が起きても、メルトダウンが起きても不思議ではなくなる世界の到来は、使うものに悪意と利益があれば、容易に起こり得る近未来の地獄絵図ではあるが、恐らく最初は、エニグマ同様に解析不能と思われていた暗号が密かに解析され、情報が敵国に筒抜けになる。
あとは、それをそれぞれがどう使うかである。
ドイツがエニグマが解析され、敗戦に繋がったのではあるが、当初解析された事を悟られないように、重要な作戦以外は欺瞞情報で解析した結果で、行動が判明していても、わざと知らない振りをして、避けられた損害を被って悟られないようにしていた。
そしてここぞという作戦で解析結果を使って大打撃を与えたわけである。
大日本帝国海軍の暗号が連合軍に筒抜けで、敗戦を重ねたのも、太平洋戦争の決定的な転換点のミッドウェイ海戦も、アメリカの流した給水設備故障の欺瞞情報で攻略作戦箇所を特定させてしまった油断も大きかったが、近未来では、恐らく歴史は繰り返すか、歴史が終わってしまうかのどちらかなのかもしれない。
今の各国の衰勢は、結構危うい橋を渡っている最中なのかもしれない。